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​義務・責任

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義務

規範によって課せられる拘束又は負担のこと。規範としては、道徳、宗教、法律などがあり、これに対応する義務が区別される。法律上の概念としては、債権に対する債務というように、権利に対応するものとして捉えられ、また、義務違反に対しては強制が加えられる。義務には、作為義務不作為義務がある。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

責任

多義的な語であるが、

  1. 一般には、自己の行為の結果について、何らかの義務、不利益、制裁を負わされること。

  2. 刑法上、構成要件、違法性と並ぶ犯罪の成立要件を指す特別な概念として用いられたり、民法上、債務に対する用語として、債務が弁済されない場合のために一定の財産が担保となっていることを指す概念として用いられたりするように、特定の法分野における特別な概念を指す用語として用いられることもある。

  3. 単に義務の意味で用いられることもある。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

債務

特定人(債務者)が他の特定人(債権者)に対して一定の行為(給付)をすることを内容とする義務。債権に対応する語で、一つのものが債権者からみれば債権、債務者からみれば債務となる。

 

​ー義務や責任を負うこと、負わせることー

負担

義務責任を負う、引き受けること。「負担する」と動詞として用いられる場合もある。債務、経費等の金銭的給付義務を伴う経済的なものに関して多く用いられる。経済的なものを伴わない場合には、「負う」という語が用いられている。また、国と地方公共団体との間の財政関係において、本来地方公共団体が経費を賄うべきものにつき国が奨励的に財源を援助する場合には、原則として「補助」という語を用い、その性質上、国及び地方公共団体がともに経費を出すべきであると考えられるものについては、「負担」が用いられている(地財一〇~一〇の三)。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

課する

一般的に、義務負担を負わせること。例、「前項の条件は…許可又は認可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない」(電気一〇〇②)。
国その他の公的な団体が、その国民、団体構成員等に対し、公権をもって租税その他の金銭などを負担させ、納めさせる行為。例、「所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する」(所税七①)。

​賦課

割り当てて負担させること。一般的には、国又は地方公共団体が課する公租公課についていうが、例えば、協同組合などの私法人がその費用を組合員に負担させる場合についても用いられることがある(中協一二等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​ー義務や責任を免れることー

免除

  1. 債務免除のことをいう。

  2. 公法上は、いったん成立した法令による作為、給付又は受忍の義務を、特定の者又は特定の場合について解除することを意味する。例えば、租税の免除、義務教育の免除などがこれに当たる。なお、実際には、関税定率法一四条のようにあらかじめ義務を解除している場合にも免除という言葉が使われている例もある。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

債務免除

債務者に対する一方的な意思表示によって債権者が債権を無償で消滅させること(民五一九)。債権の放棄であり、単に免除ともいう。債権者の単独行為であるが、免除によって第三者の利益を不当に害することはできない。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

免責

  1. 民法、商法上は、債務者が個々の債務を免れ、又は債務を負わずにすむことをいう。

  2. 破産法上は、破産手続による配当によって弁済されなかった残余債務について、破産者が弁済の責任を免れるという制度。

  3. 刑事責任を免れる意に用いることもある。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

減免
法律上の何らかの義務について、その全部を免除し、又はその一部を軽減すること。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

ー債務の種類ー​

作為債務

給付の内容が積極的な作為を内容とする債務。消極的な不作為を内容とする不作為債務との区別は、強制執行の方法について意味をもつ。作為債務のうち代替的作為債務については代替執行の方法がとられるが、非代替的作為債務については間接強制の方法による。

自然債務​

債務者が任意に履行すれば有効な弁済となる(不当利得とはならない)が、債務者が履行しないときは、債権者側からその履行を裁判所に訴えることはできない債務。消滅時効が完成し、時効が援用された債務などがこれに当たると説かれる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]


​責任ない債務

訴えによって債務の履行を裁判上請求することはできるが、強制執行によって債務者の財産にかかっていくことができない債務。これに対して、債務者からの任意の弁済は法律上有効な弁済となるが、裁判所に訴えることのできない債務を自然債務といい、両者を合わせて不完全債務と呼ぶこともある。なお、この不完全債務の意味で自然債務の語が用いられることもある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

与える債務と為す債務

 

与える債務

物を与えることを内容とする債務。例えば、売買契約における売主の目的物引渡債務など。為す債務に対する概念である。与える債務の場合には、強制履行の方法として、直接強制ができる点に特色がある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

為す債務

与える債務」(特定物又は不特定物の給付を目的とする債務)に対する概念で、「与える債務」の目的となる行為以外の行為をすることを目的とする債務。講演とか、競業をしないこととかがその例。与える債務と異なり、直接強制が許されず、代替執行か間接強制による。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

可分債務

分割債権関係において、債務者が有する債務。民法四二七条は、数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債務者は平等の割合をもって債務を負う旨規定している。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​不可分債務

数人の債務者が同一の不可分給付を目的として負う義務。各債務者は、全部の給付の義務を負うが、債務者の一人がその債務を履行したときは、総債務者の債務が消滅する。また、おおむね連帯債務の規定が準用される。その他の点では、各債務は独立のものとして扱われる(民四二八~四三一)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

持参債務

給付の目的物たる物又は金銭を債務者が債権者の住所又は営業所に持参して引渡し(履行)しなければならない債務。取立債務に対する。民法は、特定物の引渡しを目的とする債務以外は、原則として持参債務としている(四八四)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

​取立債務

債権者が債務者の住所又は営業所において給付の目的物たる物又は金銭を取り立てて履行を受けなければならない債務。民法は、持参債務を原則としているので(四八四)、取立債務は、一定の場合及び特約のある場合に認められる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​送付債務

債権者・債務者の住所又は営業所以外の土地(第三地)に目的物を送付する債務。持参債務取立債務に対する観念であり、当事者の特約によって生ずる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

主たる債務

ある債務Aの発生・消滅が他の債務Bの発生・消滅に伴うときにある債務Aを従たる債務というのに対し、他の債務Bを主たる債務という。利息債務に対する元本債務がその例。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​従たる債務

その発生・消滅が他の債務(主たる債務)の発生・消滅に従属する関係にある債務。元本債務に対する利息債務がその例。狭義では、保証債務によって担保される債務(主たる債務)に対して、保証債務のことをいう(民四四七・四四八)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

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