合意・同意・承諾・約束
合意
当事者の全員の意思が一致(合致)すること(民訴一一、刑訴三二七、建基七〇③等)。なお、類語の「同意」と異なり、当事者の一方が能動的で他方が受動的立場に立つことを必要としない。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
同意
他人の行為に賛成の意思を表示すること。ある行為がある人の同意を必要とするとされている例は法令に多く見られる。この場合に、同意を得ることなく行った行為は、取り消すことができるものなのか、効力を生じないものなのかなどについては、必ずしも一様でなく、法律の規定により異なる。例えば、未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は取り消すことができるが(民五)、内閣総理大臣の同意を得ることなく国務大臣を訴追した場合には、その訴追は無効である(憲七五、刑訴三三八)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
承諾
-
申込みと結合して契約を成立させる意思表示(民五二一等)。
-
一定の事実の承認あるいは一定の事実への同意の意に用いられることもある(民三七七・四六七・六一二等、刑二〇二・二一三等)。
-
憲法上、予備費を支出した場合は国会の承諾を得なければならない(八七)が、これは事後承諾の意味に用いられている。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
許諾
要求を聞き入れ、許すことで、「承諾」とほぼ同義。例えば、国会議員の不逮捕特権について、「会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」(国会三三)などのように、一般に禁止されていることが許諾によって可能になるという場合に用いられる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
受諾
当事者間の一方が他方の主張、申出等について承諾、同意すること、又は第三者の意見、提案等について当事者が同意すること。例、「和解条項案を受諾したとき」(民訴二六四)。このほか、条約について、批准の形式によらずに条約に同意し、条約を成立させる場合に用いられることがある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
約束
相手に対し、又は互いに、取決めを行うこと。また、その取決めの内容。例、「賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき」(刑一九七の四)、「プログラム言語の用法についての特別の約束」(著作一〇③)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
約定
当事者間の任意の合意により、一定の事項について取り決めること。「約定」は特に金額、利率、期間など数量で示される事柄について用いられることが多い。例、「約定利率」(民四一九①)、「損害賠償の額を約定する」(四四七②)、「法定又ハ約定ノ期間」(手七三)。
「やくてい」とも読んで、郵便関係の国際条約の標題に用いられる。例、「郵便送金業務に関する約定」(平一七条一七)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ー合意の効力ー
合意は拘束する
pacta sunt servanda。当事者間の合意に法的拘束力を認めるローマ法の原則。今日でも、一般的な法理とされているが、合意であればどのような内容であっても法的拘束力を有するものではなく、強行法規に違反するもの、公序良俗に反するもの等は、効力を有しないとされる。国際法では、条約の拘束性の根拠とされている(例、条約法約前文)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ー争いをやめる合意ー
和解
和解とは、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約する契約をいいます(民法695条)。
示談
民事上の紛争について、裁判外における当事者間の話合いによって解決すること。法令上の用語ではない。和解や仲裁による場合が多い。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
講和
戦争状態を終了させて平和を回復するための交戦国間の合意。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ー和解についてー
和解によって当事者間の法律関係が確定し,当事者はそれに反する主張をすることができなくなります。そのため,たとえ「当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする」とされています(同法696条)。この和解の効力を,講学上,「和解の確定力」といいます。
II. 裁判上の和解
裁判上の和解とは、裁判所における和解をいい,訴訟上の和解(民事訴訟法89条)と訴え提起前の和解(同法275条)をさします(同法275条の2第5項参照)。
和解調書の記載は,確定判決と同一の効力を有します(同法267条)。
1.訴訟上の和解
訴訟上の和解とは、訴訟の係属中に,当事者が訴訟を終了させる旨の和解をすることをおいいます(民事訴訟法89条,275条参照)。
2.訴え提起前の和解
訴え提起前の和解とは、民事上の争いについては、当事者が、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立てをしてする和解をいいます(民事訴訟法275条)。