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​犯罪

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犯罪

刑罰法規によって可罰的とされる行為。実質的な意味においては、法益を侵害し、一般社会の秩序に反し、社会的寛容の限界を超える行為。刑法学では、その成立要件の面から、「構成要件に該当し、違法かつ有責な行為」と定義するのが一般的な考え方である。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

犯罪行為
犯罪構成要件に該当する行為。構成要件が基本的構成要件であるか修正された構成要件(共犯、未遂、予備等)であるかを問わない(刑一九)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

​実行(犯罪の)

犯罪理論上、構成要件に該当する行為を指す。実行行為ともいう。未遂犯、共犯等の規定の適用上問題となる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​事犯

法令の規定に違反する行為、その他の制裁の対象となる行為。例、「懲罰事犯」(国会一二一)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

他害行為

他害行為とは,他人に害を及ぼす行為をいいます(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律1条)。

ー​犯罪の分類ー

即成犯

法の予定する法益侵害(又はその危険)が生じたことによって完成、完了すると考えられる犯罪。即時犯ともいう。完成と同時に公訴時効が進行しはじめる。殺人罪、放火罪など多くの犯罪がこれに属する。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

状態犯
犯罪が行われたことによって法益侵害が発生し、かつ、その状態が持続するが、犯罪としては法益侵害の発生によって終了したと認められるもの。窃盗罪等がこれに該当する。事後の違法状態も当然にその構成要件によって評価され尽くしているので、例えば窃盗犯人が盗品等を消費したり壊したりしても、別に横領罪や器物損壊罪を構成しない(不可罰的事後行為)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

​継続犯

犯罪類型が行為の継続状態を要求するため、構成要件を充足するのに多少の時を要する犯罪。犯罪が既遂に達した後も、法益侵害の状態が継続する間、犯罪の実行行為が継続しているとみられる。監禁罪や各種の所持罪がこれに属する。犯罪の継続している間はいずれの時点をとっても既遂である一方、全体的に犯罪が終了するまでは公訴時効が進行を開始せず、また、途中の時点で法改正があり新旧両法の適用が問題となる場合には、単純に犯罪終了時点が基準となる。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

​実質犯

犯罪成立の要件として保護法益の侵害ないし危険の発生を必要とする犯罪。結果犯ともいい、侵害犯危険犯とに更に分かれる。形式犯に対する語。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

形式犯

一定の行為を行うことによって、法益に対する侵害又は危険を生じなくても成立する犯罪。実質犯に対する。行政取締法規違反にその例が多いといわれる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​侵害犯

法益が現実に被害を受けたことを犯罪構成要件の要素とする犯罪。例えば、殺人罪、窃盗罪など。実害犯ともいい、実害発生を要件としない危険犯に対する。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

危険犯(危殆犯)
構成要件上、法益侵害の結果(実害)が現実に発生することを要せず、単に法益侵害の危険が発生すれば足りるとする犯罪。危殆(きたい)犯ともいい、侵害犯(結果犯)に対する。具体的危険犯抽象的危険犯とに分けられ、前者は現実に危険が発生することを必要とするが、後者は構成要件所定の行為があれば当然に法益に対する脅威が生じたものとされる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

具体的危険犯

危険犯類型の一つで、法益侵害の結果が現実に発生したことは必要としないが、法益侵害の危険が現実に発生することを必要とするもの。例えば、刑法一〇九条二項、一一〇条の放火犯がこれに当たる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

抽象的危険犯

危険犯のうち、一般的に法益が侵害される危険が存在すると認められれば足りるもの。刑法一〇八条の放火罪、同一〇九条一項の放火罪などがこれに当たる。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

結果犯

犯罪の成立要件として、行為のほかに法益侵害又は少なくともその危険という結果の発生を必要とするもの。挙動犯に対する。形式犯に対し実質犯侵害犯ともいう。殺人罪、窃盗罪、放火罪など多くの犯罪がこれに属する。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]


挙動犯

一定の行為があることで当然に成立する犯罪。外部的結果を要しないもの。偽証罪、公然わいせつ罪などがこれに当たる(刑一六九・一七四等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

作為犯

作為すなわち身体の積極的動作として類型化された犯罪(例、殺人罪)。不作為犯(例、不退去罪)に対する。なお、不作為によって作為犯の構成要件が充足されることもある(不真正不作為犯)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

不作為犯

不作為により構成要件の内容が実現される犯罪。構成要件的行為が、例えば、解散の命令を受けて解散しないというような不作為の形式で定められている犯罪である真正不作為犯と、構成要件的行為が作為の形式で定められている犯罪を不作為によって実現する不真正不作為犯とがある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

​初犯

初めて犯した罪。再犯累犯に対する語であるが、「初犯」自体は法令上の用語ではない。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

再犯

広義には、初犯以後更に罪を犯すことをいうが、狭義には、刑法一編一〇章「累犯」に規定されているものを指す。すなわち、懲役に処せられた者がその執行の終わった後五年以内に更に罪を犯し、有期懲役に処するときに、これを再犯と呼び、累犯として処断刑が加重される。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​累犯

一般には、犯罪を二度三度と何度も重ねること、二度目の犯罪を再犯といい、三度目以後の犯罪を三犯、四犯等といい、これらを総称して累犯という。刑法では、懲役刑の執行が終わった者等一定の者が更に犯罪を重ねた場合、一定の要件を具備することによって刑が加重される(刑一編一〇章)。前犯について刑に処せられたにもかかわらず罪を繰り返したことに対する非難の増大と、更に罪を犯す危険性に基づくと考えられている。基本形態は再犯である(五六)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

ー​犯罪の実行行為をした者の分類ー

正犯

犯罪の実行行為すなわち基本的構成要件を充足する行為を自らした者。単独正犯共同正犯とがある。また、他人を道具に使って自らの犯罪を実行する場合(間接正犯)も含む。狭義の共犯(教唆犯及び幇助(ほうじょ)犯)に対する。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

​共犯

二人以上の者が犯罪の実現に関与すること。共同正犯教唆犯従犯の三種に分かれる(刑一編一一章)。広義では、構成要件の規定から複数の者の関与が予想されている場合(対向犯及び集合犯)を含む。狭義では、正犯に対して、教唆犯及び従犯のみを意味する。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

単独正犯

基本的構成要件に該当する行為を自ら一人で行う者又は行うこと。数人が共同して行う共同正犯に対する。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

共同正犯

二人以上の者が共同して犯罪を実行すること。全員が全ての事実について正犯として罰せられる(刑六〇)。各自が自己の行為によって生じさせた事実だけでなく、他の共同正犯が生じさせた事実についても責任を問われることになる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

​主犯

二人以上の者が罪を犯したとき、その中心となって犯罪行為をした者。法令上の用語ではない。「正犯」の語に近いが、動機、利得、犯罪実行上の役割等を通じて主導的立場にあった者とのニュアンスが強く、共同正犯を比較的広く認める法律上の「正犯」より狭い概念といえよう。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

間接正犯

事情を知らない者又は是非の判断能力のない者等を利用して犯罪を実行すること。他人を道具として用いた正犯であって、共犯とは異なる。故意のある者を利用する場合でも、その者が犯罪成立の要件である目的や身分を欠いているときは、間接正犯が成立するとされている。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

故意ある道具

犯罪事実の表象・認容という意味での故意はあるが、その犯罪の構成要件要素である身分犯における身分(資格)、目的犯における目的を欠くため正犯とならないとされる者を利用してその身分又は目的を有する者が罪を犯す場合の被利用者をいう。これを利用する者の刑責について、通説は間接正犯を認めるが、教唆犯にとどまるとする反対説もある。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

教唆犯
共犯の一種。他人を教唆して犯罪を実行させた者。正犯に準じて処罰される(刑六一)。被教唆者が実行行為を行ったときに限って処罰され、教唆者を教唆することも同様に処罰される。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

​従犯

共犯の一形式たる幇助(ほうじょ)犯のこと。刑法は「正犯を幇助した者は、従犯とする」(六二①)と定めている。幇助とは、一般に、実行行為以外の行為をもって正犯の実行行為を容易にする行為といわれている。物理的な幇助、精神的な幇助を問わず、不作為による幇助も含まれる。その刑は、正犯の刑に照らして減軽される。拘留又は科料のみに処すべき罪の従犯は、特別の規定がなければ罰せられない(六四)。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

​必要的共犯

構成要件上、二人以上の行為者の共同行為を前提として規定されている犯罪。重婚罪、賄賂罪のように、二人以上の行為者の相互に対向した行為が存在することが成立要件とされる対向犯と、内乱罪、騒乱罪のように、同一の目標に向けられた多数者の共同行為が存在することが成立要件とされる多衆犯とがある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

対向犯

二人以上の行為者の相互に対向した行為の存在することがその成立要件とされる犯罪。重婚罪(刑一八四)、賄賂罪(一九七~一九七の四・一九八)、賭博罪(一八五・一八六①)等。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​集団犯

犯罪の成立上、多数の者が同一の目的に向かって共同して行動することを必要とする犯罪。例えば、内乱罪、騒乱罪がこれに当たる。首謀者、指揮者又は謀議参与者、率先助勢者、付和随行者等の役割分担が構成要件そのものに規定され、それぞれその間に刑の軽重が定められているので、刑法総則の共犯の規定の適用がないとされる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

​集合犯(集合的犯罪)

犯罪の構成要件の性質上、初めから数個の行為を予想している犯罪。常習犯、職業犯、営業犯がこれに当たる。この場合、途中に確定判決がない限り、数個の行為は包括して一罪として取り扱われる。集合的犯罪ともいう。なお、集団犯のことを集合犯又は集合的犯罪ということもある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]


 

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