法令・法文・法典
法令
国会が制定する法律及び国の行政機関が制定する命令を合わせて呼ぶときに用いられる語。しかし、場合によっては、地方公共団体の制定する条例や規則、最高裁判所規則等の各種の法形式を含めていうこともある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
法文
法令の文章のこと。
法典
法のうち、成文化され体系的に整備されたもののこと。民法典、刑法典など。なお、歴史上、法典と呼ばれる重要なものとしては、ハンムラビ法典、ユスティニアヌス法典、ナポレオン法典などがある。
官報
官報とは、憲法改正、詔書、法律、政令、条約、内閣官房令、内閣府令、省令、規則、庁令、訓令、告示、国会事項、裁判所事項、人事異動、叙位・叙勲、褒賞、皇室事項、官庁報告、資料、地方自治事項及び公告等を掲載するものをいいます(官報及び法令全書に関する内閣府令1条)。
法令全書
法令全書とは、憲法改正、詔書、法律、政令、条約、内閣官房令、内閣府令、省令、規則、庁令、訓令及び告示等が集録されたものをいいます(官報及び法令全書に関する内閣府令2条)。
コラムー法令の種別ー
e-Gov 法令検索においては、提供されている法令種別として、以下の通り掲げられています(e-Gov「最初にお読みください」e-Gov法令検索の使い方,参照)。
憲法
憲法とは,国の最高法規をいいます。
法律
法律とは、一般に、日本国憲法の定める方式に従い、国会の議決を経て、「法律」として制定される法をいいます。
(e-Gov法令検索では、太政官布告※1件(爆発物取締罰則)を法律に分類されています。)
※太政官布告とは、明治維新から明治18年に内閣制度ができるまでの間に置かれていた最高中央官署である太政官が制定公布した法形式。
政令
政令とは、内閣の制定する命令をいいます。
(e-Gov法令検索では、太政官布告6件(明治十四年太政官布告第六十三号(褒章条例)、明治八年太政官布告第五十四号(勲章制定ノ件) 等)を政令に分類されています。)
勅令
勅令とは、旧憲法時代、天皇によって制定された法形式の1つです。
(昭和二十二年政令第十四号「日本国憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令」により、政令と同一の効力を有するものとされております。)
府令・省令
府令とは、内閣総理大臣が内閣府の長として発する命令をいい、省令とは、各省大臣が発する命令をいいます。
閣令
閣令とは、旧憲法時代に内閣総理大臣が発した命令をいう。 (e-Gov法令検索では、閣令は「府令・省令」に分類されています。)
規則
規則とは、内閣府及び各省の長以外の他の行政機関が発する命令をいう。
なお、法令の種別は、何が法的効力を根拠づけるかに着目する場合、「法源」という用語が用いられます。
法源
法の存在形式の意味で、法の解釈・適用に当たって援用することができる法形式。成文法と不文法に大別される。成文法には、憲法、各種法律のほか、政令、条例、規則などがあり、不文法には、慣習法、判例(法)、条理、自治的法規などがある。また、国際法源としては、条約、国際慣習法などがある。各種法源の間には効力上一定の秩序があり、例えば、法律は政・省令に優先し、成文法は慣習法に優先する。
法令そのものではありませんが、法令の内容をより具体化するものとして以下のようなものがあります。
通達
内閣総理大臣(内閣府)、各省大臣、各委員会及び各庁の長官がその所掌事務に関して所管の諸機関や職員に命令又は示達する形式の一種(行組一四、内閣府七⑤)。法令の解釈、運用や行政執行の方針に関するものが多い。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
訓令
上級官庁が、下級官庁の権限の行使を指揮するために発する命令。下級官庁はこれに従わなければならないが、訓令は法規としての性質を有するものでないから、直接国民を拘束することはない(行組一四②等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
細則
-
ある法令、規則に対し、そこで規定されたこと以外の細かい事項について定めた法令、規則をいう。
-
このようにして定められた法令、規則の名称として用いられることもある(例、不動産登記法施行細則、市税条例細則)。
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コラムー違法・適法・不法・合法ー
違法
ある行為ないし状態が法令に違反し、又は違反していること。適法の反対概念。法令に対する違反と関わりなく、単に道徳上非難されるべきというにとどまる場合は、不当な行為であっても、違法とはいえない。「不法」もおおむね同義で用いられるが、どちらかといえば、実質的・主観的観念に重きを置いた場合に用いられることが多い。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
適法
法秩序にかなうこと。行為や状態が法令によって是認されるようなものであること。
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不法
法に違反すること。合法に対する。「違法」と同義に用いられることが多いが、主として実質的ないし主観的な違法性に重きを置いて用いられることが多い。例、「不法に人を逮捕し、又は監禁した者」(刑二二〇)。ただ、形式的に違法である場合に用いられることもあり、「違法」との間に決定的な違いはない。例、「不法に管轄又は管轄違を認め」(刑訴三七八)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
合法
「不法」に対する概念で、ある法律事実が法規範(一般には成文法)に適合することをいう。「適法」とほぼ同義であるが、法律事実の法規範への適合性が「適法」よりも一層強い場合を指すことが多い。
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コラムー規程と規定ー
規程
一定の目的のために定められた一連の条項の総体をいい、また、その具体的名称として題名に用いられる。現在、法令の名称としては、原則として用いず、「規則」を用いることとされている。例、「鉱業権者は、…保安上必要な措置について…保安規程を定め…なければならない」(鉱保一九①)。
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規定
法令中の個々の条項の定めをいう。古い用例では「規程」と同じ意味に用いられたものもある。
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コラムー規定の分類ー
前文
法令の各本条の前に置かれ、その法令の制定の趣旨、目的、基本原則を述べた文章。憲法に置かれているほか、いわゆる基本法関係に置かれる例が多い(例、教育基本法、高齢社会対策基本法)。
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見出し
法令において、条文の内容を簡潔に表現して条名の右肩に括弧書にして付けられたもの。[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
本文
法令のある条項の文章が二つに区切られている場合において、後段の文章が前段の文章に対する例外を規定しているような場合に、その前段の文章を指す。このような場合には、後段の文章は「ただし、」で始まる文章が用いられ、「本文」に対して「ただし書」と呼ばれる。
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但書
一つの条、項又は号の中で、主文章(本文)の後に続いて、これに対する除外例や例外的条件を規定するため、「ただし」という字句で始まっている規定をいう。「法令における漢字使用等について」によれば、「但し」、「但書」を「ただし」、「ただし書」と表記することとされている。
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前段
法令において、ある条又は項の文章が二つに区切られている場合の前の方の文章(三つに区切られている場合は最初の文章)。ただし、その後方の文章が「ただし」で始まるときは、「前段」とは呼ばず、「本文」という。
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後段
成文法令において、一つの条項が二つの文から成り立っている場合に、前の方の文を前段と呼ぶのに対して、後ろの方の文を後段と呼ぶ。一つの条項が三つの文から成り立っている場合は、それぞれ前の方の文から、前段、中段、後段と呼ぶ。なお、後段が「ただし」で始まる文の場合は、これを特に「ただし書」と称する。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
目的規定
目的規定とは、その法律の制定目的を簡潔に表現した規定をいいます(参議院法制局「法制執務コラム 目的規定と趣旨規定」参照)。目的規定は,立法意図を明らかにし、法律全体の解釈の指針となる重要な規定です(参議院法制局「法制執務コラム 立法技術と法解釈」参照)。
趣旨規定
趣旨規定とは、法律の内容を要約したもので、制定の目的よりも、その法律で定める内容そのものの方に重点がある規定をいいます(参議院法制局「法制執務コラム 目的規定と趣旨規定」参照)。
見直し条項(検討条項)
見直し条項とは,法律により新たな制度を創設して規制の新設を行うものについて、当該法律に一定期間経過後、各省庁が当該規制の見直しを行う旨の条項をいいます(「規制緩和推進計画の再改定について」平成9年3月28日閣議決定(首相官邸,1997年)
強行規定
任意規定
任意規定とは,法令中の公の秩序に関しない規定をいいます(民法91条・92条,消費者契約法10条参照)。
常例
通常の例、常に定まっているならわしを意味するが、訓示的規定として、場合によってはその例によらなくてもよいことを示している。「常会は、毎年一月中に召集するのを常例とする」(国会二)の用例があるが、これに従わなかったときでも、直ちに法律上の義務違反にはならず、拘束力は弱い。「例とする」よりは更に拘束力が弱いというニュアンスがある。
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例とする
通常の場合には定められたとおりに一定の事柄をすべきであるが、場合によっては、その定められたとおりに行わなくても法律上の義務違反にならない、という緩やかな訓示的規定に用いられる語。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
故なく
法令上、条理上許されるべき事情すなわち正当な理由のないこと。多くの場合、「違法に」と同じ意味。例、「業務に関して知り得た秘密を故なく他に漏らし」(農協一〇一の三)、「故なく、生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射を行つてはならない」(母体保護二八)。
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コラムー法令の改正ー
改正
法令の改正においては、改正の対象となる法令を全体として捉えていう場合には「改正する」と表現し、法令の個々の部分を捉えていう場合には「改める」と表現する。例、「〇〇法の一部を改正する法律」、「第〇条第〇項中『A』を『B』に改める」。
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改める
法令用語としては、法令の改正の対象となる条項や条項の字句などの部分について改正するときには、「改める」が用いられる。法令の改正全体を捉えていうときは、「改正する」が用いられる。例、「所得税法の一部を次のように改正する」、「第三条を次のように改める」。
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削除
法令の一部を消して取り除く場合に、その部分を「削除」と改正する方法。類似の方法として「削る」があるが、この場合には、法令の中で、削られた箇所が跡形もなく消えてしまうのに対して、削除の場合には、「第〇条 削除」という文言が残ることとなる。
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削る
法令を改正する場合に法令の一部を指示し、その指示した部分を消して無くしてしまうときに用いられる表現(例、「第〇条中『〇〇』を削る」、「第〇条を削る」)。類似のものとして条や号を「削除」に改める方式があるが、この場合には「第〇条 削除」という字句が残る。
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なお効力を有する
法令を改正又は廃止した場合に、特定の事項について、改正又は廃止前の規定がなお効力を有し適用されることを表す。附則で経過措置を規定する際の慣用的表現。「なお効力を有する」とされた旧規定は、現に有効な法令であり、必要があれば改正することも可能である。
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