事務・事業・業務
事務
事務とは,仕事とほぼ同義。その内容は、人間の生活上の利益に影響を及ぼす全ての行為を含む。法律行為たると事実行為たるとを問わない。単なる不作為は含まれないと解されている。例、「事務の委託」技術的職務に対応するものとして「事務」が使われることもある。[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
事業
一定の目的をもって反復継続的に遂行される同種の行為の総体を指す。営利の要素は必要とせず、営利の目的をもってなされるかどうかを問わない(労基別表一、地税七二)。会社法上は、個人商人における営業に対応するものとして、その会社の行う活動を一般に「事業」と呼んでいる(五等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
業務
社会生活上、反復継続して行われる事務又は事業。利益を伴うかどうかを問わない。業務が正当に行われることの重要性から、法律は、これに対する妨害を処罰する一方、一定の業務を行う者に特別の義務を課し、又は通常人に比して責任を加重している(刑二三三・二三四・二一一等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ー生業と職業と営業ー
生業
生活していくために必要な仕事のこと。「事業」に比し零細なものを指す場合が多い(生活保護一七)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
職業
職業とは,人が自己の生計を維持するためにする継続的活動をいいます(最大判昭和50年4月30日民集第29巻4号572頁)。職業は,分業社会においては、これを通じて社会の存続と発展に寄与する社会的機能分担の活動たる性質を有し、各人が自己のもつ個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分の関連を有するとされます(同判例)。
営業
営利の目的をもって同種の行為を反復継続して行うこと。例、「自己の商号を使用して営業…を行うことを他人に許諾した商人」(商一四)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
生計
収入や支出の面からみた暮らしのこと。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
職務
国、公共団体その他の団体の職員等がその地位に応じて担当する当該団体の事務。国家公務員については、「国家公務員の職階制に関する法律」(昭二五法一八〇、平二一廃止)において、職員に遂行すべきものとして割り当てられる仕事と定義されていた(三)。
公務
一般に、国若しくは公共団体の事務又は公務員の職務。権力関係に基づくものであるかどうか等、その性質のいかんを問わない。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
任務
ある人又は機関が、責任をもって遂行すべき職務又は事務の全体。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
役務
英語のserviceに当たる語で、他人のために行う種々の労務又は便益の提供をいう。なお、既に廃止された「政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律」(昭二二法一七一、昭二五廃止)のように、物の生産をも含んだ概念として用いられる場合もある。例、「その公益事業及び公共の役務の利用」(日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定六)などがある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
営業所における用心棒の役務
営業所における用心棒の役務とは,営業を営む者の営業に係る業務を円滑に行うことができるようにするため顧客、従業者その他の関係者との紛争の解決又は鎮圧を行う役務をいいます(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律9条5号)。
ー現業ー
現業
原則として国の企業経営等の非権力的な事業をいう(行組二二等)。現在では、国有林野事業がこれに当たる。古くは、国有林野事業のほか、アルコール専売事業、郵政事業、印刷事業及び造幣事業を合わせて五現業といったが、アルコール専売事業については、昭和五七年にアルコール製造事業が新エネルギー総合開発機構(現・日本アルコール産業株式会社)に移管されたことに伴い、郵政事業については、平成一五年に公社化されたことに伴い、また、印刷事業及び造幣事業については、平成一五年に独立行政法人化されたことに伴い、それぞれ現業でなくなった。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
非現業
国又は地方公共団体の業務のうち、国有林野、水道、ガスなど国等が経営する事業に係るものを除いた業務の総称。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
公益事業
労働関係調整法上は、運輸、郵便、信書便、電気通信、水道、電気、ガス、医療、公衆衛生の事業であって、公衆の日常生活に欠くことのできないもの及び内閣総理大臣が指定した事業をいう。これらについては、その公益的性格から、強制調停、緊急調整、調停に際しての優先的取扱い、争議行為の予告義務等の特別な規制がされている(八等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]