排除・廃除・除斥・除去
排除
①法規範としての効力の全部又は一部を否定し、これを適用させないという意味で用いられる場合と、②ある事実上の状態又は物件を除去することの意味に用いられる場合とがある。なお、憲法前文の「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」という場合は、憲法の精神に抵触する過去の憲法、法令等の効力を否定するにとどまらず、将来にわたっても、このような憲法、法令等の存在を許さないという強い意味を表すものと理解されている。[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ーある事実上の状態を除去することー
廃除
法令上は、民法の相続人の廃除について用いられ、被相続人に対する虐待その他の著しい非行を理由として、遺留分を有する推定相続人をその地位から除外すること。廃除の方法は、被相続人が自ら家庭裁判所に請求する生前廃除(八九二)と、被相続人の遺言に基づき、遺言執行者が家庭裁判所に請求する遺言廃除(八九三)の二つがある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
除斥
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社団等の清算手続において、期間内に届出又は申出のない債権を弁済又は配当から除外すること。権利の除斥という(一般法人二三八、会社五〇三)。
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裁判官、裁判所書記官、公証人、執行官、審査官、審判官等が事件の当事者又は事件自体と特殊な関係にあり、その公正につき客観的疑念を生じさせる事由(除斥原因)がある場合に、その事件についての職務執行から排除されること(民訴二三①等、刑訴二〇等)。
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普通地方公共団体の議会の議長及び議員も、と同じ趣旨で議事から除斥されることがある(自治一一七)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ー忌避・回避ー
忌避
特定の職務執行をする者について不公正を疑わせるような事由がある場合に、当事者からの申立てによってその者をその職務執行から脱退させること、又はそのための申立てをすること。訴訟法上、裁判官及び裁判所書記官について認められているが(民訴二四・二七等、刑訴二一・二六等)、民事訴訟法は、専門委員、鑑定人及び通訳人についても認めている(九二の六・二一四・一五四②)。また、特許権等の審判をする審判官についても認められている(特許一四一)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
回避
避けること。訴訟手続上は、事件を担当する裁判官又は裁判所書記官について、除斥又は忌避されるべき原因があると考える場合に、裁判に関与することを自発的に避けることをいい、民事、刑事の手続を問わず認められている(民訴規一二・一三、刑訴規一三・一五)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ー物件を除去することー
除去
工作物その他の物件を除き去ることを意味することが多い。漂流物の除去(港湾二⑦)、防火対象物の除去(消防五)等のように用いられる。この意味では、「除却」とほぼ同じ。対象が物件でない用例としては、損害の除去(河七五①)等がある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
除却
工作物その他の物件を取り除くときに用いられるのが一般で、建築物の除却(建基九①)、物件の除却(道七一①)等のように用いられる。この用い方は、「除去」とほぼ同じ意味である。対象が物件でない用例としては、公害の除却(河八)等がある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
収去
ある物を一定の場所から取り去ること。民法に規定する収去権(二六九)のほか、行政処分としての収去があり(労安衛九一①、薬六九③、食品二八等)、危険物、医薬品等を行政当局が検査又は試験に供する場合、その必要の限度において強制的に取り去ることが認められている。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
撤去
施設や建物等の構築物又は文書図画等の物品を取り去ること(港湾四一①、公選一四三の二等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
解撤
解体し、撤去すること。例えば、海運市場悪化の場合の船腹調整手段の一つとして用いられることがある。例、「当該船舶が滅失し、沈没し、又は解撤されたとき」(小型船登一二①)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]