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​講学上の概念・法令用語

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​講学上の概念

​法律学において、「講学上の概念」とは、法律学を研究する上で用いられる用語をいいます。

 

特に​法令用語にはない概念を表す場合に使われます。例えば、法令用語日英対訳辞書の収録用語の選定方針では、「収録用語は,法令において現に使用されるものに限られ,講学上の概念等については,主要かつ基本的なものであっても収録していない。」とされています(日本法令外国語訳推進会議「法令用語日英標準対訳辞書(平成29年3月改訂版)」(日本法令外国語訳データベースシステム,2017年)参照)。

以下,「講学上の概念」を分類して,紹介します。

  1. 立法の際,実定化されなかった場合において,その実定化されなかった部分を埋め合わせるために必要となる場合
     例えば,自然人である。法制度上,「法人」が産み出され,「人」という概念に包摂された結果,「人」という概念は,人間と法人を含むことになった。そのため,人間を法人と区別する必要が生じ,人間だけを指す場合を,講学上、自然人と呼ぶ。
     

  2. 講学上の概念が実定化された場合であっても,その後の判例・学説の変遷によって意味が異なりうることから,あえて講学上の概念を法令用語と区別して残している場合 
     例えば、「行政行為」と「行政庁の処分」といったように、行政行為概念を基に「行政庁の処分」という用語が実定化されたが、「行政庁の処分」は,その後、判例により、実際上の権利救済の観点から拡張されて解釈されている。必ずしも理論的とはいえず、理念型としての行政行為概念と「行政庁の処分」を区別する必要がある。

     

  3. 議論を整理ないし意味付けをするため 
     例えば、民法第1編から第3編を財産法,第4編から第5編を家族法と呼んで分類すること

法令用語

法令用語とは、法令で用いられている用語をいいます。例えば、e-Gov法令検索では、任意の用語を入力すれば、その用語が用いられている法令を検索することができるシステムを法令用語検索といいます。

広くは、法律に関する用語をいうようです。例えば、有斐閣法律用語辞典[第4版]の編集方針をみると、「この辞典は、法令用語を、新聞で用いられるような一般的なものから講学上のものまで含めて、約一万三八〇〇の項目として採録し、簡潔に解説するもので、日ごろあまり法令になじみのない一般の方々にも手軽に利用ができることをねらいとした。」とあり、「法令用語」に「講学上の概念」も含めています。

​また特に、法令で用いられている用語のうち、「及び」と「並びに」、「又は」と「若しくは」その他の特別な意味、用法を持った用語を指す場合もあります。

法律用語

法律用語という言い方もあり,法令用語と同義で使われることが多いようです。

 

*コラム

「法令用語」にも「講学上の概念」にもあたらないが,法律実務上用いられる用語を指して,「実務用語」などといいます。

例えば「事情」です。訴訟において紛争の背景のように主要事実以外のものを、漠然と「事情」と呼ぶことがあります(高橋宏志『民事訴訟法概論』(2016年3月)120頁参照)。

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