国・国家・政府
国
一般には、日本古代の行政区画、故郷等の極めて多様な意味に使われるが、法令上は、国家を法律上の権利義務の主体として表す場合に用いるのが通例である。例えば、憲法一七条の「国」、学校教育法二条の「国の設置する学校」等。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
国家
その定義は多種多様であるが、通常は、国家の本質を地域(領土)、所属員(国民)及び固有の支配権(国権又は統治権)の三要素に集約して理解されており(国家三要素説)、領土を基礎として国民によって組織される統治団体と定義される。
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国庫
財産権の主体としてみた場合の国家のこと。そもそもは、財産上の関係について、権力主体である国家と区別し、私人と同様に法の適用を受けるものとするための概念であったが、法治主義が確立している現在ではこの点での意味は失われている。なお、今日では、国に所属する現金等を経理する仕組みである国庫制度を指すこともある。
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政府
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広義では、立法、行政及び司法の三権を包括した国の統治機関全体を指す。例、「日本国憲法又はその下に成立した政府」(国公三八)。
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狭義では、内閣及びその統轄の下にある行政機関全体を指す。例、「政府は、…ときは、その状況を次の国会に報告しなければならない」(行組二五①)。
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ー国の機関ー
国家機関
国の統治権を分担し行使する機関。国の統治権は立法、司法、行政の三権から構成され、それぞれその三権に応じて立法機関、司法機関、行政機関に分類される。
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国の機関
一般に、国の事務を担任している機関を指す(行手四①、災害基五五等)。この場合の国の事務とは、地方公共団体等の事務に対する概念である。国家機関ともいう。
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政府機関
一般的には、立法機関(国会)、司法機関(裁判所)に対して行政機関(内閣)のことをいい、その組織等については国家行政組織法等に定められている。
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行政機関
行政組織を構成し、行政事務を担任する機関。講学上、その権限等により、行政官庁、補助機関、諮問機関、参与機関、執行機関、監査機関などに区別される。国の行政機関としては、内閣府のほか、国家行政組織法が、行政官庁と補助機関等から構成される省・委員会・庁を定め(三②)、地方支分部局等はその組織の一部をなすものとしている(九等)。地方公共団体の行政機関については一般的には地方自治法(一五五・一五六)が、警察、教育等を所掌する特別行政機関については特別の法律が、これを定めている。
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公共団体
法令の規定により、国の下に、国によってその存立の目的を与えられた団体。公法人、公法上の法人と呼ばれることもある。目的の公共性、目的遂行の義務、公権力の行使権限、国の特別の監督などに共通の特色がある。地方公共団体(都道府県、市町村等)、公共組合(土地改良区、水害予防組合等)及び営造物法人(事業団等)の三種に分かれるが、個々の法令によって、その範囲は必ずしも一様でない。
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ー公職・公務員・官ー
公職
一般には、国及び地方公共団体の職のような公的な職の総称として用いられるが、法令用語としては、その職の範囲は法令により異なる(国公一〇二②、人規一四―五、公選三等)。
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公僕
現行憲法下において公務員が特に国民の奉仕者であることを表す場合に用いられる語。公務員は、全体の奉仕者として、国民主権の下で、国民の信託を受け、国民のために国政に従事する立場にあり(一五②)、旧憲法下のように天皇の官吏であってはならないことを意味して用いられる。
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公務員
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広く、国又は地方公共団体の公務を担当する者を指す。選任方法のいかんを問わず、立法、行政、司法のどの部に属するかも問わない(憲一五②、九九参照)。
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国家公務員法や地方公務員法上の公務員は、国会議員、地方議会議員を除いた概念。
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刑法における公務員は、賄賂罪などを定めるに当たっての要件となっており、広義の公務員のうち機械的な労務に従事する者は除外されるものとされている(刑七①参照)。
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官
一般的には、国の機関、役人、役人の地位等を意味する。法令上は、従来、官吏組織における各官吏の基本的地位を指すものとして用いられた。官に任ぜられた上で特定の職又は勤務を命ぜられるのが原則。官名としては、現在も、一官一職的なもの(大臣、事務次官等)のほか、内閣、内閣法制局、内閣府又は各省の省名を冠した事務官、技官、教官等が用いられている。例、「文官トハ官ニ在ル者…ヲ謂(い)フ」(恩給二〇①)。[有斐閣 法律用語辞典 第4版]