通知・告知・申告・通報・報告・届出
通知
ある事実や自分の意思を他人に知らせること。法令上、この語が用いられる例は多く、その法律上の効果もいろいろである。民法上は、準法律行為の一種とされ、他人に自分の意思を示す意思の通知、ある事実を示す観念の通知などに区別される。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
告知
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一定の事柄を通知すること(公選一〇一②、国公四七、民訴五三等)。
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意思表示の内容をもつこともある。例えば、会計法六条の「納入の告知」や、国税通則法三六条の「納税の告知」は、行政行為としての性格をもつ。
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講学上の概念として、解約又は解約告知と同義で用いられ、賃貸借、委任等の継続的な契約関係を当事者の一方的な意思表示によって終了させ、その効力を将来に向かって消滅させる行為を指すことがある。なお、民法は、この意味の告知を「解除」(六二〇・六五一等)又は「解約の申入れ」(六一七等)と称している。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
報告
事実、状況等を他の特定の人又は機関に告げ知らせること。法令上は、事業者等が一定の立場にあることに伴って関係行政庁に対する「報告の義務」として規定される場合(地税九④等)及び関係行政庁の「報告の徴収権」として規定される場合(自然環境二〇等)がある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
通報
一定の事実を他人に知らせること。通常、法律上の効果の発生が期待されておらず、また、意思の知らせが含まれない点で、「通知」と異なる。例、「火災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署…に通報しなければならない」(消防二四①)。[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
申告
主に国民が法律上の義務として行政庁に一定の事実の陳述を行うこと。納税申告はその一種。単なる事実の通知をいうこともある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
届出
届出とは,行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいいます(行政手続法2条7号)
ー意思通知と観念の通知と意思表示ー
意思通知
催告や拒絶など、自己の意思を他人に通知する私法上の行為。これによって私法上種々の効果が生じる。例えば、催告は時効を中断し、債務者を遅滞に陥れ、解除権を発生させる(民一五三・四一二・五四一)。これらの効果は、行為者がそれを欲したから生ずるのではなく、行為者がそれを欲しなくても法律によって発生させられる点で、意思表示とは異なる。準法律行為の一種。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
観念の通知
事実を通知する行為。単に事実を通知するものであって、本人の意欲を含まない点において、意思表示と異なる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
意思表示
一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に対して表示する行為。契約の申込み・承諾、遺言等がその例。意思表示を不可欠の構成要素として「法律行為」の概念がある。民法では意思表示と法律行為を混用している。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ー警告と戒告ー
警告
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あらかじめ制裁その他の不利益処分又は一定の法律効果が生ずる旨を相手方に対し告げ、注意すること(会社八二四①)。
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危険な事態に際し、関係者の注意を喚起すること(地震特措二五)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
戒告
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公務員等の職務上の義務違反に対する懲戒処分の一つで、本人の将来を戒める旨の申渡しをする処分(国会一二二、国公八二、自治一三五、地公二九)。
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行政上の義務の履行がされなければ代執行をすべき旨の通知行為。行政代執行法によると、代執行をするには、あらかじめ文書で戒告しなければならない(三)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
ー捜査機関に対し犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示ー
告発
犯人及び告訴権者以外の第三者が、捜査機関に対し犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示。告発をすることができる者には限定がない。公務員のように法律で告発義務が定められている場合もある(刑訴二三九)。例外的に訴訟条件となる場合を除き、一般には捜査の端緒にとどまる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
告訴
犯罪の被害者その他の告訴権者から、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示(刑訴二三〇以下)。公訴の提起があるまでは取り消すことができる。一般には捜査の端緒にすぎないが、親告罪とされている犯罪については、告訴が告訴期間内になされていることが訴訟条件となる。
ー害悪の告知等ー
脅迫
人を恐怖に陥れる目的で害を加えることを告知すること(刑二二二)。第三者の加害であっても、告知者本人がこれを左右できる地位に在ることを示すときは含まれる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
不実告知
不実告知とは,重要事項について事実と異なることを告げることをいいます(消費者契約法4条1項1号,逐条解説「第4条(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)」29頁参照)。
不利益事実の不告知
不利益事実の不告知とは,当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことをいいます(消費者契約法4条2項,逐条解説「第4条(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)」37頁参照)。